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札幌地方裁判所 昭和41年(行ウ)18号 判決 1966年12月16日

札幌市北七条西一丁目一番地

原告

日詰配管工業株式会社

右代表者代表取締役

日詰豊作

札幌市北七条西二五丁目

被告

札幌北税務署長

鬼頭久己

札幌市大通り西七丁目

被告

札幌国税局長

池中弘

右両名指定代理人検事

岩佐善巳

法務事務官 森麟二

大蔵事務官 草野尚

主文

本件各訴えを却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

原告は本件口頭弁論期日に出頭しないが、陳述したものとみなされた訴状によれば、原告の求める裁判および請求の原因は別紙一記載のとおりである。

被告らの求める裁判および主張は別紙二記載のとおりである。

被告らは乙第一ないし第四号証(第一・四号証は各一・二)を提出した。

理由

本件各訴えは、原告の昭和三九年四月一日から昭和四〇年三月三一日までの事業年度の法人税について、被告札幌北税務署長がなした昭和四〇年一二月一七日付更正処分および右処分に対する異議申立てについての昭和四一年二月二六日付決定、ならびにこれに対する審査請求について被告札幌国税局長がなした昭和四一年七月九日付裁決の各取消を求めるものであるから、その出訴期間は、いずれも国税通則法八七条一項本文および行政事件訴訟法一四条一項・四項により、右審査請求に対する裁決があつたことを知つた日から起算して三箇月以内である。

ところで、文書の方式と趣旨により公文書と認められるから真正に成立したものと推定される乙第一・三・四号証(第一・四号証は各一・二)ならびに文書の方式と趣旨および右乙第一号証の二と第三号証により真正に成立したと認められる乙第二号証によれば、前記審査請求に対する裁決が昭和四一年六月二一日になされ、その裁決書の謄本が同年七月九日原告に対し書留郵便で発送せられ、翌日原告に到達したことが認められる。したがつて、原告は昭和四一年七月一〇日に右裁決のあつたことを知つたものというべく、本件各訴えは、同日から起算して三箇月以内(右期間の末日である昭和四一年一〇月九日は日曜日であり、翌一〇月一〇日は休日であるから、昭和四一年一〇月一一日まで)にこれを提起すべきである。

しかして、本件各訴えが昭和四一年一〇月一七日に提起されたものであることは記録上明らかであるから、右各訴えはいずれも出訴期間経過後に提起された不適法な訴えであり、却下を免れない。

そこで、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 平田浩 裁判官 三宅弘人 裁判官 根本真)

(別紙一)

請求の趣旨

被告札幌北税務署長が昭和四〇年一二月一七日付でなした、原告の昭和三九年四月一日から昭和四〇年三月三一日までの事業年度にかかる法人税につきその法人税額を金二、二九六、六九〇円とする更正決定のうち法人税額一、七〇七、八六〇円を超える部分を取消す。

被告札幌北税務署長が、原告の右更正決定に対する異議申立に関し昭和四一年二月二六日付でなした異議申立棄却決定を取消す。

被告札幌国税局長が原告の審査請求に関し、昭和四一年七月九日付でなした審査請求棄却決定を取消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

との判決を求める。

請求の原因

一、原告は金属製品製作及び配管工事の請負を業とする会社である。

二、原告会社は被告札幌北税務署長に対し、昭和三九年四月一日から昭和四〇年三月三一日までの事業年度にかかる法人税につき、別表申告額欄記載のとおりその所得金額、留保金額、法人税額を確定し、申告したところ、被告札幌北税務署長は昭和四〇年一二月一七日別表更正決定額欄記載のとおり更正決定、並びに過少申告加算賦課決定をなし、そのころ原告会社に通知した。

三、ところで原告会社は右更正決定額中、別表審査請求額欄記載の金額を超える部分を不服として昭和四一年一月一五日被告札幌北税務署長に対し異議の申立をなしたところ同年二月二六日同被告は異議申立棄却決定をなしその頃原告会社に通知して来た。

四、右決定を不服としてさらに原告会社は同年三月一八日被告札幌国税局長に対し審査の請求をなしたが、同被告は同年七月九日右審査請求を棄却する旨の裁決をなしその頃原告会社に通知した。

五、しかし、原告会社の右事業年度の所得金額は別表審査請求額欄記載金額のとおりであつて前記更正決定のうち右金額を超える部分は違法であるから取消されるべきであり、さらに右更正決定を正当として許容した異議申立棄却決定及び審査請求棄却決定もまた取消されるべきである。

別表

<省略>

(別紙二)

本案前の答弁

請求の趣旨に対する答弁

本件各訴えをいずれも却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

との判決を求める。

理由

一、被告札幌北税務署長が原告の昭和三九年四月一日から昭和四〇年三月三一日までの事業年度の法人税に対して昭和四〇年一二月一七日に更正を行ない原告が当該処分について被告税務署長に原告主張の年月日に異議申立てをしたところ、被告税務署長は棄却の異議決定を昭和四一年二月二六日に行ない原告に通知したので原告はさらに被告札幌国税局長に昭和四一年三月一八日に審査請求をしたが、被告国税局長は昭和四一年六月二一日に棄却の裁決をなし、同裁決書謄本は昭和四一年七月一〇日に配達証明書留便で送達された(乙第一号証ないし同第四号証の二)。

二、ところで、国税に関する法律に基づく処分で不服申立てをすることができるものの取消を求める訴えは、国税通則法第八七条によつて、不服申立ての前置を要するから、更正処分および異議決定の各取消しを求める訴えは審査請求を経た本件の場合は審査請求について裁決を経た後でなければ提起することができず、結局その出訴期間は裁決の取消しを求める訴えの出訴期間と同一に帰することになる。

しかるに裁決の取消の訴えの出訴期間は、行政事件訴訟法第一四条第一項および第四項によつて、審査請求に対する裁決があつたことを知つた日(裁決書謄本送達の日)から起算して三箇月以内(該当日の昭和四一年一〇月九日は休日であるから翌一〇月一〇日まで)に提出しなければならないところ、原告法人の求める本件各処分・裁決の取消の訴えは右期間を経過した昭和四一年一〇月一七日に提起されているからいずれも不適法として却下さるべきである。

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